鼻炎とは鼻粘膜の炎症である。病理組織学的に見ると鼻粘膜の炎症には、化膿性炎症とアレルギー性炎症が多い。血管からの血漿成分の滲出、浮腫、細胞浸潤、分泌亢進を特徴としている。この鼻炎の中でアレルギー性炎症として起こるのがアレルギー性鼻炎である。
アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜のI型アレルギー性疾患なので、アレルギー素因(アレルギーの既往歴、合併症、家族歴)を持っていることが多い。臨床的には、発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉を主症状とする。アレルギー性鼻炎の別名として鼻過敏症、鼻アレルギー、花粉症などが用いられている。
アレルギー性鼻炎は好発時期から通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎とに分けられる。前者の多くは室内塵、ダニのアレルギーで、後者のほとんどは花粉特にスギ花粉アレルギーつまり花粉症である。季節性アレルギー性鼻炎が花粉症であるが、アレルギー性鼻炎=花粉症ではないことに注意が必要である。
アレルギー性鼻炎の全国的な有病率は、通年性アレルギー性鼻炎が約10~20%、花粉症は約10~15%といわれている。通年性アレルギー性鼻炎と花粉症の有病率は近づき、両者の合併患者も増加傾向にある。
アレルギー性鼻炎の重症度は、その3つの主症状であるくしゃみ、鼻漏と鼻閉の強さの組み合わせで決められる。鼻閉型の重症例については注意が必要である。鼻中隔弯曲症などの形態異常が明らかな症例、鼻閉に対する薬物療法の効果が不十分な症例に対して手術が行われるからである。また鼻中隔弯曲症の他に慢性副鼻腔炎を合併していることもある。
したがって新契約保険の引受査定においては、アレルギーの原因、加療期間、服用薬剤、通年性か季節性かを確認することが重要である。一部の保険会社では花粉症は告知不要の疾患とされているが、通年性アレルギー性鼻炎その他を合併し、手術給付の請求が起こる可能性に十分な注意が必要であろう。