生命保険のための医学知識

生命保険会社の査定医長として、日々の
引受と支払査定業務で気付いた病気と
手術について解説して行きます。
最近の担当保険分野は、生命保険、
医療保険、がん保険、団体医療保険、
海外旅行保険、医師賠償責任保険、
就業不能団体信用費用保険など多岐に
わたっています。
査定者や営業担当者の医学知識の向上に
少しでもお役に立てれば幸いです。

2013年09月

掌蹠膿胞症性骨関節炎とは、掌蹠膿疱症とともに、骨の石灰化・ 関節の癒着などをきたす病気です。掌蹠膿疱症のうち約4割におこります。そのうち約8割はまず胸骨・鎖骨・肋骨に起こり、骨盤・脊椎、まれに膝関節・大腿骨・下顎骨に起こります。関節炎の程度はレントゲンと血液検査で、初期・中期・後期と3段階に、さらにそれを3段階に分け、 合計9段階に分類します。初期なら1ヶ月程で痛みが無くなりますが、罹患期間が長期・後期の場合は治療も長くなります。関節炎は自然治癒することはなく、ビオチンを中心に、痛みの強い場合は鎮痛剤を併用して治療します。また、代謝・免疫異常を生じるため、さらに糖尿病・高脂血症・クローン病・IgA腎症・甲状腺機能異常などを合併する人もいます。

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新生児ループす症候群とは、母親の自己抗体が胎盤を介して、胎児および新生児に障害をあたえる後天性の自己免疫症候群です。主な症状としては心臓の伝導障害・皮膚症状・肝機能障害・血液障害などがあります。心症状以外の症状は、一過性かつ可逆的な障害で生後1年までに自然に治癒します。

自己抗体はシェーグレン症候群やSLEなどの膠原病に多くみられる抗SS-A抗体と抗SS-B抗体が注目されており、その発症機序は不明ですが、それらの自己抗体が妊娠中に胎児の心臓の刺激伝導系を傷害するのではないかと考えられています。原因について現在も研究中ですが、妊娠に際して血漿交換療法などによる予防的治療も試みられています。

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CINCA症候群(Chronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome; CINCA)とは、慢性乳児神経皮膚関節炎症候群といい、自己炎症性疾患の一つです。持続性の発疹がみられ、頻繁に生じる発熱により発疹が悪化することが多く、多数の炎症性疾患の症状を伴います。慢性無菌性髄膜炎、頭痛、脳圧の上昇、視神経乳頭浮腫、幼少期からの進行性感音性難聴など、その他に認知障害や精神的障害とともに中枢神経系の慢性炎症が起こります。近年、遺伝子レベルでの研究が進み、診断できるようになった稀少な疾患であり、いまだ確立された治療法は無く、国内で適用を受けている薬もありません。多くは炎症制御の為にステロイド剤、免疫抑制剤などを投与して来ましたが、卓効があるとはいえません。

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