心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder;PTSD)とは、心に加えられた衝撃的な傷が元となり、後になって様々なストレス障害を引き起こす疾患です。トラウマには事故・災害時の急性トラウマと、児童虐待など繰り返し加害される慢性の心理的外傷があります。症状として精神的不安定による不安・不眠などの過覚醒症状、トラウマの原因になった障害・関連する事物に対しての回避傾向、事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や全体に関わる追体験があります。
アメリカ精神医学会の精神障害診断・統計マニュアルによると、PTSDは一般に「極度に苦痛な体験、例えば、自然災害、事故、暴力などに自分あるいは家族が巻き込まれる、あるいは殺人や拷問の現場を目撃するなどの外傷体験 の後、 直後の急性反応としてではなく、遅延反応として、1~2週間後から数ヶ月経過した後に起こるものである。発症後は長短さまざまに経過するが、 多くはそのうちに回復する。典型的症状としては、体験したむごたらしい記憶がまざまざと再現し(フラッシュバック)、悪夢にうなされる。 持続的に気分は鈍く、周囲への反応に乏しく、楽しみが湧かず、事故と関係のあるような状況を回避する。また、それを思い起こすことを避ける。 心因性健忘を認め、事故のことを想起できないこともある。過度覚醒、警戒的、易刺激的、不眠、発汗、動悸などの自律神経症状、不安、抑うつ、自殺念慮、 薬物やアルコール乱用などの自己破壊的行動もある。」と理解されています。心的外傷後ストレス障害の診断基準としては、現在、主にICD-10とDSMー4があります。