生命保険のための医学知識

生命保険会社の査定医長として、日々の
引受と支払査定業務で気付いた病気と
手術について解説して行きます。
最近の担当保険分野は、生命保険、
医療保険、がん保険、団体医療保険、
海外旅行保険、医師賠償責任保険、
就業不能団体信用費用保険など多岐に
わたっています。
査定者や営業担当者の医学知識の向上に
少しでもお役に立てれば幸いです。

2015年01月

心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder;PTSD)とは、心に加えられた衝撃的な傷が元となり、後になって様々なストレス障害を引き起こす疾患です。トラウマには事故・災害時の急性トラウマと、児童虐待など繰り返し加害される慢性の心理的外傷があります。症状として精神的不安定による不安・不眠などの過覚醒症状、トラウマの原因になった障害・関連する事物に対しての回避傾向、事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や全体に関わる追体験があります。


アメリカ精神医学会の精神障害診断・統計マニュアルによると、PTSDは一般に「極度に苦痛な体験、例えば、自然災害、事故、暴力などに自分あるいは家族が巻き込まれる、あるいは殺人や拷問の現場を目撃するなどの外傷体験 の後、 直後の急性反応としてではなく、遅延反応として、1~2週間後から数ヶ月経過した後に起こるものである。発症後は長短さまざまに経過するが、 多くはそのうちに回復する。典型的症状としては、体験したむごたらしい記憶がまざまざと再現し(フラッシュバック)、悪夢にうなされる。 持続的に気分は鈍く、周囲への反応に乏しく、楽しみが湧かず、事故と関係のあるような状況を回避する。また、それを思い起こすことを避ける。 心因性健忘を認め、事故のことを想起できないこともある。過度覚醒、警戒的、易刺激的、不眠、発汗、動悸などの自律神経症状不安、抑うつ、自殺念慮、 薬物やアルコール乱用などの自己破壊的行動もある。」と理解されています。心的外傷後ストレス障害の診断基準としては、現在、主にICD-10とDSMー4があります。





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従来から、複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome; CRPS)のI型は、反射性交感神経性ジストロフィとして、そのII型はカウザルギーとして知られていた。

Ⅰ型 神経損傷のない組織損傷に関連するCRPSで、反射性交感神経性ジストロフィ(reflex sympathetic   
         dystrophy; RSD)に相当する。受傷後、数週間経過してから発症することが多い。 軟部組織や骨の
         損傷後に発症する。

Ⅱ型 神経も巻き込んだ損傷に関連するCRPSで、カウザルギー(causalgia)に相当する。
         受傷直後から発症することが多い。

いずれにしてもCRPSは、原組織損傷と不釣り合いな強度と期間で持続する慢性神経障害性疼痛をいう。両型とも若年成人に好発し、女性のほうが2~3倍多い。その他の症状として、発汗、血管運動異常、発赤、浮腫などの自律神経性変化、脱力やジストニアなどの運動障害、皮膚や骨の萎縮、脱毛、関節拘縮などの栄養障害性変化などがある。
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