生命保険のための医学知識

生命保険会社の査定医長として、日々の
引受と支払査定業務で気付いた病気と
手術について解説して行きます。
最近の担当保険分野は、生命保険、
医療保険、がん保険、団体医療保険、
海外旅行保険、医師賠償責任保険、
就業不能団体信用費用保険など多岐に
わたっています。
査定者や営業担当者の医学知識の向上に
少しでもお役に立てれば幸いです。

血液

非ホジキンリンパ腫は、日本人の悪性リンパ腫の90%を占め、多くの種類に分類される一連の血液のがんで、リンパ球のB細胞またはT細胞から発生します。非ホジキンリンパ腫では、可動性・弾性硬のリンパ節腫脹が初発症状として特徴で、あらゆる臓器に進展します。LDHの上昇、可用性IL-2受容体の上昇が見られます。病変部のリンパ節生検で、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫や濾胞性リンパ腫が見られるとき非ホジキンリンパ腫と診断します。病期の確定をするために、画像診断、骨髄生検などを行って病変の広がりを確認します。 非ホジキンリンパ腫の治療は、化学療法と放射線療法が主体です。B細胞性では、抗体療法と化学療法を組み合わせたR-CHOP療法が標準的に行われています。治療により、腫瘍崩壊症候群を起こすことがあります。腫瘍崩壊症候群とは、腫瘍細胞の崩壊による、高K血症、高P血症、乳酸アシドーシス、高尿酸血症などをいいます。 なお、胃のMALTリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫にもヘリコバクター・ピロリ除菌療法が奏効するものもあるという報告があります。
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ホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優勢型に大きく分けられます。欧米に比べて、日本での発生率は低く、悪性リンパ腫全体の10%以下です。ホジキンリンパ腫(旧ホジキン病)という病名は、1832年にこの病気を発見した英国人医師トーマス・ホジキン(Thomas Hodgkin)にちなみます。 ホジキンリンパ腫では、頚部の無痛性・可動性・弾性硬・連続進展性のリンパ節腫脹が初発症状として特徴的です。その他、脇の下や足のつけねにしこりが見られることがあります。
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悪性リンパ腫とは、いわゆる血液のがんの1種で、白血球のリンパ球ががん化した病気です。悪性リンパ腫のリンパ球は主にリンパ節で増殖します。リンパ節で増殖したリンパ球は基本的に血液中に出ることはないです。例外的に血液中に腫瘍性増殖したリンパ球が見られることを悪性リンパ腫の白血化といいます。リンパ節の他に、リンパ管、脾臓、胸腺、扁桃、パイエル板などのリンパ系組織から発生することがあります。痛みのないリンパ節の腫れが認められます。頚部や顎下の単一リンパ節腫脹から病気が見つかることがあります。全身へ広がると、体重減少、寝汗、倦怠感、掻痒感などが起こります。
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血球貪食症候群はリンパ球の細胞障害性顆粒の産生および搬送・分泌過程を制御する遺伝子群の異常により、マクロファージやリンパ球の過剰反応が持続し、多様な臓器障害が引き起こされる病態です。生後すぐに発症する例もあります。二次性血球貪食症候群では、感染症、リンパ腫などの疾患群の発症に付随して同様の病態を呈することもあります。
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骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes; MDS)とは、血液細胞のがんの1つで、白血球・赤血球・血小板の血液細胞のおおもとになる、造血幹細胞(hematopoietic stem cell;  HSC)が異常を起こす病気です。末梢血で赤血球・血小板の減少、白血球数の異常(減少や増加)などの血液細胞数の異常がみられます。いわゆる前白血病状態です。治療としては、完治の可能性がある造血幹細胞移植、急性骨髄性白血病に準じた治療の抗がん剤治療、免疫抑制療法、ビタミン療法、輸血などの支持療法があります。

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末梢血中好酸球数が異常増加し、450/μLを超えるものを指します。原因は様々であり、明らかになっていませんが20~50歳の男性に多いのが特徴です。好酸球の浸潤は、造血器・神経・皮膚・呼吸器など多岐にわたり、これら浸潤臓器に基づいた症状を呈します。このほか全身倦怠感・筋肉痛・発熱などを認めます。症状として、過半数には、紅斑・丘疹や蕁麻疹などの皮膚症状が出現します。その他、心臓の病変が多く、心筋の壊死による梗塞から心不全を生じることがあります。皮膚症状のみの場合はステロイド薬の外用・光線療法、全身症状や臓器病変がある場合には、ステロイド薬の内服を行います。

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白血球は、顆粒球、リンパ球と単球に分けられるが、好酸球は顆粒球の1つである。好酸球は骨髄で幹細胞から分化増殖し、血中に放出された後、主として粘膜組織に分布する。全好酸球の99%は組織に存在し、おのおのの疾患では最終的に標的臓器に集積して機能発揮する。一般的に好酸球の機能は、組織障害と炎症の促進、炎症の鎮静化、組織の再構築、免疫調節自然免疫と考えられている。反応性好酸球増加症が一番多いが、1500/μl以上の好酸球増多が持続している場合には、特発性好酸球増加症候群なども考えられる。
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自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia; AIHA)とは、体内に自身の赤血球に結合する自己抗体ができることにより、赤血球が本来の寿命よりも異常に早 く破壊されるために生じる貧血をいいます。自己抗体ができる原因は不明です。貧血による症状として、倦怠感、動悸、息切れ、めまい、頭痛などが現れます。また軽い黄疸がみられたり、脾臓が腫 れるつまり脾腫を起こします。本疾患を長期間罹患すると胆石を合併することもあります。 膠原病などの自己免疫疾患や悪性リンパ腫に合併することもあります。軽度の貧血には輸血、ステロイドホルモン剤の投与が行われます。赤血球の破壊を抑えるために脾臓摘出手術を行うこともあります。
 
 
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赤血球が何らかの原因により破壊されたために起きる貧血の総称であり、先天性(遺伝性)のものと後天性のものがあります。先天的なものは赤血球膜・赤血球酵素・ヘモグロビンの異常、赤血球自身の異常により赤血球が破壊されやすくなります。後天的なものは抗体によるもの(自己免疫性溶血性貧血)や血管壁・血流など赤血球以外の原因のものが多いですが、発作性夜間ヘモグロビン尿症のように赤血球に異常が起きるものもあります。
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発作性夜間ヘモグロビン尿症(Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria; PNH)とは、 PIGA 遺伝子に後天的変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大する疾患です。GPI アンカー型蛋白である CD59 や DAF などの補体制御因子を欠損する PNH 血球が、補体の 活性化に伴い血管内溶血を起こすことが原因です。
 
 
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