生命保険のための医学知識

生命保険会社の査定医長として、日々の
引受と支払査定業務で気付いた病気と
手術について解説して行きます。
最近の担当保険分野は、生命保険、
医療保険、がん保険、団体医療保険、
海外旅行保険、医師賠償責任保険、
就業不能団体信用費用保険など多岐に
わたっています。
査定者や営業担当者の医学知識の向上に
少しでもお役に立てれば幸いです。

疾患解説(消化器)

急性腹症(acute abdomen)とは、腹痛が急激に出現し、緊急手術の必要性がある腹部の急性炎症性疾患の総称です。本来ならば、原因により具体的な診断名が付けられるはずですが、臨床症状のみしか患者情報がないときに急性腹症と診断されます。つまり現在では「腹痛を主徴とし、早急に治療方針をたてる必要がある腹部疾患」と考えられています。急性腹症に含まれる疾患を原因別に分類すると次のようになります。

1. 胃十二指腸潰瘍の穿孔
2. 急性胆嚢炎
3. 急性膵炎
4. 急性虫垂炎
5. 大腸憩室炎
6. 腸閉塞
7. 腹部の血管病変:上腸間膜動脈(静脈)血栓症、腹部大動脈瘤破裂
8. 泌尿器疾患:腎・尿管結石
9. 婦人科疾患:子宮外妊娠、卵巣嚢腫の茎捻転、急性卵管炎
10. 悪性腫瘍によるもの

原因疾患の頻度としては、腸管感染症、急性虫垂炎、腸閉塞などが多いようです。
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疾患概念

 逆流性食道炎(胃食道逆流症; GERD)とは、胃酸などが食道に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜にびらん・炎症を引きおこす疾患です。逆流性食道炎は、胃潰瘍に対するピロリ菌の除菌治療後のヒトに多いといわれています。また食道裂孔ヘルニアに逆流性食道炎が合併していることが多いようです。逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux diseaseNERD)、バレット食道(Barrett's esophagus)の3疾患を総称して胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux DiseaseGERD)とよばれるようになりました。

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疾患概念

飲酒後の激しい嘔吐の反復により急激な腹腔内圧の上昇が起こります。これにより食道胃接合部付近に粘膜下層までの裂創を生じ、粘膜下動脈が破れて吐血をきたす疾患がマロリーワイス症候群(Mallory Weiss syndrome)です。

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